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青い初夏
「おい蒼人(あいと)、アイス食うか?」
「ん~……食べる。何味?」
「グレープ。ほれ、垂れるぞ。早く食え」
「ふぁんふゅ。……んまい。冷たい…」
「あ!お前食べ過ぎ。俺の金で買ったんだぞ。感謝して食え。そして俺の分はちゃんと残せ」
「んん……頭いたい」
「急にあの大きさで食うからだろ」
「でもあっちぃ」
「そーだなー。明日から夏休みだし、俺の午前の練習終わったら、海行くか?」
「泳ぎたい……でも外はなぁ…」
「お前一応剣道部だろ。体力ねぇのな、昔から」
「歩くのが面倒なだけだ」
「それが良くも無駄の無い動きとなって、全国行くんだもんなぁ~、コレが」
「悠斗(ゆうと)も、バスケやってるだろ」
「俺らは地区で優勝だから、県では通用しないかも?まぁチームプレーだから、俺1個人の力じゃないしな」
「そーゆーのがモテる秘訣なのか?」
「どこでそれを見いだした?つか、何でそうなる」
「いや、何か昼休みお前のクラス行ったら人が集ってたから」
「ふーん……え、来てた?全っ然気付かなかった」
「おう、だから田中誘って昼飯食った」
「え、田中ってどっちの?」
「眼鏡掛けてない煩い方」
「あーね、お前のクラス田中二人居るもんな」
「ん……」
ミーンミンミンミーーン……
「出た。蒼人の影歩き」
「なんだよそれ」
「え、知らねぇの?お前暑くなるといつもそーやって影から歩くよな。んで、影無いと歩くの速くなる。蝉飛んでくると俺の近くに来る」
「へぇ、そうなのか。初知りだ」
「あとコレも知ってる。お前のホクロの場所、ゴニョゴニョ……」
「……何でそんなこと知ってる」
「昔一緒に風呂に入った仲じゃないか」
「ニヤニヤするな。この変態」
「変態じゃないですぅー、ただの親友ですぅー」
「面倒くさい」
「言うと思った(笑)」
カラカラカラ……
「悠人、その自転車中学からも乗ってたよな。…買わないのか?」
「あーいや、今勉強ヤバイからバイトやめさせられたんだよ」
「お前のおやじ、厳しいもんな…」
「……何かわりぃな。こんな話。ゴメン」
「いや、大して気にしてないし、第一両方とも顔覚えてないから。気にすんな」
「……おう。お!ここの販売機、夏になるとソーダ出てくるよな」
「?、気にしたことなかった」
「160円。どうする?買う?」
「んー」
チャリチャリ…
「大きいのしかない。あと10円足んない」
「マジ?俺さっきアイス買ってお釣貰ったんだよ。10円やるから半分な」
「えー…」
「んだよアイス半分あげただろ」
「…分かった」
ピピッ
ガタンゴトン
「つめて」
「ああ!俺にも!首やって」
「いーよ。ほい」
「ひゃーー、つめてー!気持ちい!」
プシュ
「あ、お前ちょっと振ったろ」
「あーあ、もったいねー。手、洗うか?」
「家までいい。どーせ舐めるし」
「そ」
「…そー言えば、ここら辺だったよな。田中と宮田ん家」
「田んぼコンビの?」
「そう」
「家向かい同士ってたよな。これか」
「そーみたいだな。アイツら二人とも赤点だったから今頃荒井ティーチャーにしばかれてんな(笑)」
「…今度慰め兼勉強会するか」
「勉強会ねー…。俺は祭り行きたいな」
「いつあるっけ」
「20日から22日」
「いつもの神社だよな」
「そうだなー。あぁー!!喋ってたら焼きそば食いたくなってきた!!」
「じゃあいつもの時間に鳥居前に集合するか?」
「おう!今からでも楽しみだなぁー!お、もう着くな。んじゃ、明日校門前で待ってろ。部活終わったら海行こう」
「分かった。じゃあな」
「おう」
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