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黄色の海
ミーーンミンミンミーン
シャアシャアシャア
ジージーージージーー
「…あつ」
早く来すぎた。
「昼飯、食っとくか」
ガサガサ
「おーい、轟!」
「ん……?あ、荒井先生。ちわす」
「よぉ、待ち合わせか?」
「はい。悠人……高木の部活を」
「どーせお前ら、出会い求めに海でも行くんだろ」
「出会い…は分かりませんが、行きますよ」
「田中と宮田もだよな。アイツら今回やばかったぞ。お前あの二人勉強誘えよ」
「俺も誘ってます。でも死にそうな顔して土下座されるので、……田中に」
「ははは、しそうだなアイツなら。お前は今回も5番以内だったな、そういえば」
「他に趣味が無いだけです」
「剣道も、なかなかやるしな」
「先生に勝ったこと無いですよ、俺」
「まぁな、俺は全国準優勝だから」
「で、その先生の先輩が優勝」
「お前のおやじな」
「……別に良いです。覚えてないので」
「お、それ昼飯?俺弁当買うの忘れたんだよね。ちょっとくんない?」
「嫌です」
「冷たいなぁ……よし、お前ら四人とも海まで車出してやる。どうだ?」
「おにぎり1個で良いですか?」
「やったね。具は?」
「鮭」
「貰う」
「おーーい、蒼人ーー!と、先生?」
「あ、悠人」
「何しに来たの先生?」
「いや、俺もお前らの青春に混ぜてもらえねぇかなーと。そうだ、お前、轟に感謝しろよ。こいつが俺のお昼を救ったから、車出してやる」
「え、俺自転車で蒼人と二人で行くんで」
「何だお前らラブラブか?一応自転車も入るぞ。田んぼコンビも含めて」
「乗ろう悠人。こっちが楽。エアコンある」
「…俺先生のそーいうさらっとカッコいい発言するとこ嫌い。んでもって蒼人さらってくとこも嫌い」
「え、マジ?」
「おおーーい!!」
「啓一うっさいテンション下げろ!」
「お、来たな。職員用の駐車場で待っとけ。白い車。1番デカイからすぐ分かる」
「そーいうとこ」
「なるほど、こーゆうとこか。まぁ、待っとけ。すぐ来るから」
「えっ何?センセ車出してくれんの?ありがたっ!!」
「おうよ」
「だからテンション下げろっていってんだろ!」
「失礼しまーす!」
「先生絶対彼女居ないよね」
「え、何でバレた」
「顔良いけど女より生徒か仕事って感じ」
「あー!それマジ分かる!」
「同感」
「分かる」
「まぁな。恋愛はそれなりにしたけどな……お前ら、シートベルトしたか?」
「「「「はーい」」」」
「おし、だすぞー」
「で、どうなの?」
「コクられて、さっきお前らが言った理由で振られる」
「あはは!やっぱり」
「笑うな田中。内心下げるぞ」
「すんません(笑)」
「こん中金ヅチ居るか?」
「俺」
「宮田か。浮き輪は?」
「俺泳がないんで」
「買ってやるから海には入れ。帰りもついでに送ってやる」
「え、どしたのセンセ」
「轟への恩」
「えー!轟、俺にも恩の売り方教えてくれ!」
「知らない」
「ってことは、先生も海一緒ってこと?」
「悪いか?俺も遊びてぇんだよ、たまには」
「やった!センセも海ー!」
「あ、今誰か屁こいた?」
「マジか。窓開けろ窓」
「クッサ」
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