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「ウゥゥゥ…ワカッタ。オマエノ言ウトオリニスル……デモ、最後ニヒトツダケ教エテクレ。オデハ自分ノコト、ズット人間ダト思ッテイタ。デモ、博士モ村ノミンナモ、オデノコト、バケモノダッテ言ウ。オデハ人間ジャナイノカ? オデハイッタイナンナンダ!?」
なおも嗚咽しながらその指示を受け入れると、バケモノはよろよろと立ち上がり、涙に濡れる黄色く濁った眼差しを向けてそう尋ねてくる。
「さあな。俺は学がねえから、んな難しいことはわからねえぜ……でもよ、育ての親をずっと信じていたおまえと、自分の生み出したこどもを平気で殺そうとしたあいつ、本当にバケモノなのはどっちなんだろうな?」
俺は柄にもなく、理不尽とわかりきっているこの世の中に今さらながら虚しさを覚えると、なんとも哀れなバケモノの問いかけに皮肉を込めてそう答えた。
(Le Monstre que Dr aimait ~博士の愛したバケモノ~ 了)
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