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「だが、もう少しで実験成功という矢先、私が墓を暴いて実験用の死体を得ているという噂が広まり、大学にも地元にもいられなくなった……そこで、私のことを誰も知らない、この新天地へ渡って実験を続けることにしたのだ! そして、私はついに実験を成功させた!」
「それが、あのバケモノだな」
「ああ。しかし、命を宿したばかりのアレは言葉も話せず、赤子同然だった。だから、まさに実の子のように私はアレを教育し、人間らしく手塩にかけて育て上げたんだ。ところがある日の夜、外へ散歩に出た所を村人に見られ、恐怖に駆られた彼らに銃撃された……なんとか逃げ延びて正体は知られなかったが、そこで私は初めて悟ったんだ……私が作り出したものは人間ではなく、バケモノなんだと……」
銃撃……あいつが俺の短銃を異様に怖がってたのもそのためか……。
「だから、私は自らの犯した大罪を悔い、アレをあるべき自然の姿へ戻そうと考えた。しかし、可愛い我が子をこの手にかけるのは忍びない。私はアレを地下室のベッドに拘束すると、しばらく家を留守にすることにした。アレが餓死するように……ところが、もういい頃だと家へ戻ってみると、アレは怪力で自ら拘束具を外し、生きるために外へ出て村の作物を盗み食うようになっていたのだ!」
「ま、腹が減りゃあ、当然そうなるわな……で、その尻拭いを俺にさせようとしたってわけか」
「ああ。アレは飢え死にさせようとした私を恨んでいることだろう。捕まれば、私はきっと残酷に殺される。私は村を逃げ出すと、君に殺処分を頼むことにしたんだ。嘘を吐いたことはすまないと思っている……」
それが、今回の依頼の真相ってわけだ……ったく、自分で原因作っておいて、なんとも虫のいい話だ。ほんとなら、ぶっ飛ばして有り金全部報酬にいただいてやるところだが、あいつとの約束もあるしな……。
「大丈夫だ。あいつはあんたを恨んだりなんかしてないぜ。むしろ、あんたのことを今でも親のように慕っている。な、会いに行ってやれよ。もう一度あんたに会えれば、絶対に人の来ねえような秘境へ旅立つと言っているぜ。それなら文句ねえだろ?」
すべてを白状したヴィクターに、俺はあいつに言い含めたその交換条件を伝えてみる。
「……わかった。私も可愛い我が子を殺したくはない。アレに会いに行くこととしよう……だが、やはり、私はアレが怖い……そう言っておいて、本当は私を殺す気なのかもしれない……何か、私の安全を保障するものがほしい……」
「なら、俺も一緒に行ってやる。もしもの時用にこいつも持っとけ。魔物でも一発で殺せる銀の弾丸入りだ」
なんとか承諾はしてくれたが、いまだ半信半疑にバケモノの報復を恐れているヴィクターに、俺は同行を申し出ると護身用に短銃も貸してやることにした――。
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