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「あん? ……あ! もしかして、お客か!? ああ、それは俺のことだ。この怪奇探偵カナール、金さえもらえれば悪霊でも魔物でもなんでも引き受けるぜ?」
俺は一瞬、ポカンとした後、彼が依頼者であることに気づく。
「どうやら鉱山労働は免れたようだの」
オヤジもそれを悟り、またそんな余計な嫌味を言う。
「それは頼もしい。ぜひ、お願いしたい仕事があるのですが……お金はこれで足りますでしょうか?」
だが、オヤジに眉をひそめる俺を他所に、男はけっこうな銀貨の入っていそうな皮袋を懐から取り出し、チャリンチャリン音をさせながらそう尋ねてくる。
「おお! なんと耳触りの良い響き! じゃ、詳しい話は上の事務所でお聞きしましょうか、ムシュー?」
俺は一も二もなく了承すると、慇懃に気取って男を二階の事務所へと誘った。
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