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「な、なんじゃこりゃあ!?」
そこにある扉を開け、地下室へ一歩足を踏み入れた瞬間、俺は思わず驚きの声をあげた。
その部屋には所狭しとガラスでできた様々な形の容器が並び、強烈な薬の臭いがツンと鼻を突く。それに中央に置かれた妙にデカいベッドには、何やら錆びた鉄製の拘束具が破壊された状態で残っている……。
あのヴィクターって野郎、いったいここで何をしてやがった……いや、んなことよりも、留守宅のはずなのに天井のランプが灯ってるじゃねえか!
「……ハカセ? 博士ナノカ?」
俺が嫌な予感を覚えたその時。不意に背後でそんなたどたどしい男の声が聞こえた。
「……っ!?」
振り返った俺は、そこにいたバケモノにますます大きく目ん玉をひん剥いた。
身長は8フィート(約2.4m)ぐれえの大男で、寸足らずな茶のローブを着てはいるが、露出している顔や腕を見ると無数の縫った痕があり、なんというか、ツギハギだらけといった印象を受ける。それに死体のように濁った眼はぼんやりと光り、首の左右には太いボルトが突き刺さってるじゃねえか!
「博士? イヤ、チガウ。オマエ、ヴィクター博士ジャナイ……」
「ヴィクターのことを知ってる? やっぱりこいつがそのバケモノか! だったら話は早え! シグザンドの魔術によりて汝に命ずる! 邪悪なる魔物よ、とっととここから立ち去りやがれ!」
俺は手にした護符をバケモノへ突きつけると、決め台詞のように呪文を唱える。
「オマエ、博士ノ居場所シッテルノカ! シッテタラ、オデ二教エテクレ!」
だが、バケモノはパシンと護符を手で払うと俺の間近に迫り、やはり舌足らずな言葉使いでそんな質問を投げかけてくる。
「魔法円が効かねえだと!? んな形してるくせに魔界のものじゃねえってことか? だったらコイツで……」
眼前に迫る醜いバケモノの顔に、俺は驚きと恐怖を覚えながら今度は腰のフォルダーから銀の弾丸を込めた燧石式短銃を引き抜いてやつに銃口を向ける。
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