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しかし、ただの初恋相手なら、私だって持ち続けてはいないだろう。こんなにも大事にさせるのは、写真の中に彼女のくれた言葉を見ているからだ。
彼女と出会ったのは、小学六年の頃だ。彼女の家が転勤族だった為に、ほんの数ヵ月だけの付き合いだった。
しかも、恋人や友人と言う特別な物は私達にはなかった。保健室でばったり会って、数回話しただけの関係である。
転勤が多いせいで、慣れるのに少し疲れてしまうと彼女は話していた。
しかし、その語長は溌剌としていて、とにかく明るかったのを覚えている。声自体は、もうすっかり記憶にないけれど。
私はと言えば、この頃、普通学校の授業に付いていけず、保健室へ逃げ込んでいた。因みに中学は盲学校へ進学している。
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