愛する妻

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清隆(きよたか)さん。明日、兄の所に行ってくるね」  食事中、妻が切り出してきた。これは、よくある会話の一端である。  やはり、盲目ゆえに出来ないことは存在するものだ。だから妻は毎週二回、決まった曜日の訪問を取り決めていた。  休日であれば共に出向くが、生憎明日は仕事がある。勤めているマッサージ店は不定休なのだ。 「良いよ、ゆっくりしておいで。いつも気遣わせてすまないね」 「ううん、シフトは午前中だけだったよね。私も早く帰るようにはするよ」  お互いの行動は、事前に報告し合う。それが私たちの決まりごとだった。結婚前からお互い素直な人間ではあったが、結婚後に改めて取り決めた。  気付きや気掛かり、井戸端会議の内容など、為になりそうなことは全て伝えあった。感謝の言葉も例外ではない。  言葉で情報を伝え合うと、本当に生きやすくなる。そこに合わせてくれる妻には、いつも本当に感謝だ。  もちろん判断は個々にあり、全ての暴露をお互いに求めているわけではない。 「いや、時間は気にしないで。お兄さんとたくさん話しておいでよ」 「そう? 分かった。じゃあいつも通り、何かあったら連絡してね」 「了解!」  大きく相槌を打ち、二時の方向へと手を伸ばした。
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