宝物の写真

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 昼前に勤務を終え、帰宅する。気持ちが急いており、早足になりそうになったが堪えた。杖をつき、一歩一歩進む。  幸い職場は近く、直ぐに自宅に着いた。打ち合わせた通りに妻は出ており、まだ帰っていなかった。  用意しておいてくれた弁当を食べ、速攻で部屋に入る。仕事中もずっと、写真の行方が気になって仕方がなかった。  出来れば、妻が帰ってくる前に見つけてしまいたい。未だ打ち明けられないことに後ろめたさもあったが、長引くほどに勇気が要るものだ。秘密にする積もりはなかったとしても。  いや、きっと妻のことだ。許してくれると信じてはいるけれど。    よし。そう一人意気込み、大捜索を開始した。
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