1.プロローグ

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1.プロローグ

 汗ばむ身体を撫でる指。  絶え間なく揺れる身体。  彼の動きに合わせて漏れる声。  耳元で囁かれる『愛している』の言葉。 ――――だけど。  熱にうなされたような頭で考える。  想い想われていても先のない恋。  永遠に報われることのない片想い。  どちらの恋が辛いのだろうかと。   「汐里(しおり)、愛している」 「私もです。(とおる)さん」  愛しい人の声で、私はまた心に目隠しをする。
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