56人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
............
............
............
「な、なんで......」
「玲子......」
「「お、女将さん!」」
「あなたにこれ以上、罪を重ねさせる訳には......いかない」
見れば......女将は血塗れになって倒れていた。どうやら、松葉杖老人の背中目掛けて振り上げた玲子の出刃包丁が、突然割って入った女将の首を切ったようだ。
そんな衝撃的な光景を目の当たりにして、呆然と立ち尽くす、槇田玲子と圭一と美緒。
そんな中、圭一がいち早く声を上げた。
「救急救命しなくていいのか? あんた得意なんだろ?」
「玲子......何をやってるの?! 私は怪我なんて......していない......早く......行くのです」
「別に......逃げてもいいわよ。多分この女将さん......被害届出さないと思うから」
やがて玲子は意を決すると、背中に担いでいたリュックを地に下ろす。そして中から赤十字マークが描かれたアルミ製のアタッシュケースを取り出した。
そして、そこには間違いなく書かれていた。
『槇田玲子』
そんな大きな文字が......
最初のコメントを投稿しよう!