神様はいない

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神様はいない

「ちょっと、ちゃんと歌ってよ!」 「はあ?めんどいからヤダ」 教室に入ってくるなり喧嘩しているのがわかった。 「どうしたんだよ、また喧嘩か?」 俺は喧嘩を止めようと中に入った 「だって神谷くん、今年が最後の合唱コンクールなのにちゃんと歌ってくれないんだよ?」 「なんで歌わないんだ?」 さっきから面倒くさがっている鈴井に聞いてみると顔をそらして答えた。 「別に…必死に歌ってたら恥ずかしいから」 「それだけか、じゃあちゃんと歌えよ」 「はあ?やだよ」 「そんなんだからモテないんだぞ、鈴井」 冗談っぽく言うと鈴井は図星だったらしく、わかったとだけ言って練習に戻った。 「神谷くん、ありがとう」 指揮者の柚子井は謝りながら言った。どうやら鈴井を納得させるのはかなり大変だったようだ。 「さすが、教会の跡継ぎ息子。皆に優しく平等だね」 からかうように言われた。 そうだ、俺はこの街の教会の長男だ。でも神様を信じたことはない。あんなの迷信だと思っている。実際毎日祈っているのに願いを言っても叶ったことは無かったからだ。
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