榛野 花音

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───────── 登校すると、自分の席を占領して優雅に足を組んで本を読んでいる昨日出会った本城の姿が目に映る なんで?なんで?なんで? そんな思考が頭を駆け巡らせる。 既に登校していたクラスメイト達はチラチラと本来居ないはずのαクラスの本城がここに居る珍しさとなんで?と言う疑問の眼差しを乗せて見ていた。ヒソヒソ声も混じっている 登校してきた花音にもその視線が向かうのは当然の結果だった。 口角を上げて静かに読んでいた本をゆっくりと閉じた。その動きにすら無駄がなく美しい。それはもはや洗練された動きだ。 本城は花音に極上の甘い笑顔を向ける。昨日と同じ。或いは昨日以上にだ。 ドキドキと胸の鼓動が早くなる 痛いほど、苦しい心音に少し目眩を覚えた。 平穏に静かに過ごしたい。 そんな願いは、この日から。出会った日から打ち砕かれたのかもしれない。  
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