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二人が見つかったのは林の入り口で
そこには村人が群がっていた。
『やえ子ぉ!!いやぁああ!!』
娘の元に行こうとするやえ子のお母さんを
村人が数人がかりで止めていた。
『……ひでぇ…肉なんかほとんど残っちゃ居ねぇってよ。熊なんかよりえげつねぇ!』
『はるちゃん。悪いことは言わねぇ。
あんな惨たらしいもんは見んほうがいい。』
『はる、大丈夫?』
やえ子の死から数日。
私の側には、ずっと流がついていてくれた。
『今日は天気もいいし、薬草を取りに行こうか。』
『…………どうして?』
『え?』
『どうしてそんなに普通でいられるの?
やえ子、死んじゃったんだよ?』
『そうだね…はるはやえ子ちゃんと幼なじみだもんね…』
『そうじゃないの!違うの!
だってやえ子は……………!』
流のことが好きだったでしょう?
死んでしまった日に、告白されてたよね…?
目の前で、優しい顔で私の涙を拭う流。
なんだろう
流なのに
『はる、人間はいつか死ぬんだよ。』
その優しい目が
怖い。
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