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決意
やえ子とテツさんの事があってから、村は一層暗くなった。
この先ずっと怯えながら生きていくしか無いのだと、絶望していた。
だが、それを一掃する出来事が起きた。
『大変だ!浜辺に鬼が出て、子供を襲ってる!』
誰かの声が響き渡り、一斉に家から飛び出た。
『鬼!?』
『まさか鬼ヶ島から!?海を渡って来たのか!?』
『早く助けねぇと!』
『丸腰で行くな!喰われちまうぞ!』
『とにかく急げ!!みんなで行けばきっと……』
大の大人が二の足を踏んでいると
『うわぁあああああん!!』
浜辺の方から子供の泣き声が聞こえ、そして…
『流!!』
『流だ!!』
『怪我してるぞ!!』
右肩から血を流しながらも、子供を抱き抱えた流が歩いてきた。
『ミツオ!』
『大丈夫。ミツオ君に怪我は有りません。』
子供を母親に渡して、微笑んだ。
『流……鬼は…?追っ払ったのか?』
『はい。この子が居たので…倒すまでは…
すみません。』
肩を抑えながら、すまなそうに言った。
『謝るな!お前は子供を救い、村も救ってくれたんだぞ!おい!早く手当てを………』
『皆さん、少し良いですか?』
流の一声で、辺りは一気に静かになった。
『今、鬼と対峙して思いました。
確かに鬼は力も強い。でも……
倒せないわけでもない。
本当にこのままで良いんですか?
鬼に怯え、自由を奪われ
無惨に殺されていく。
本当にそれで良いんですか?』
『立ち上がるなら今だ。
みんなで力を合わせて鬼を倒すのは
今しかない!!』
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