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出会い
私の暮らす村の外れには
大きいとは言うには小さく
だが小さすぎるとも言い難い川が一本流れていて
丸い石がゴロゴロ落ちている川原に流れ着き
水は海に還っていく。
実はこの川は、かの有名な……って…
『ひっ…人!?』
抱えていた薬草入りの籠を放り出し
慌てて川の中を走った。
流木に、引っ掛かるように留まる物体。
恐る恐る水に入り、覗きこんだ。
子供……だ。
歳はたぶん私と同じくらいの10かそこらの男の子…
粗末な着物からはだけている腕や足は傷だらけで、おそらく上流から流される途中で岩やら木やらにひっかかれたんだろう。
瞳は閉じられ、息はしていない
『死んでる……』
そうか……
死んじゃうとこんな風に眠ってるみたいに…
『……綺麗な顔……』
そっと、男の子の頬に手を当てると
『………?あったかい?』
『………う………ぅ……。』
『い……生きてる!?やだ!ちょっと!
たいへん!!』
男の子がこれ以上流されないように、男の子の体に抱きついて押さえた。
『はる姉ぇ?どーしたー?』
一緒に薬草取りに出ていた弟のあきが林から顔を出した。
『人が溺れてる!
急いで父さま呼んできて!』
『ええ!?わ、分かった!』
あきは一目散に走り出した。
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