第三話 金色の魔法

2/3
前へ
/6ページ
次へ
 それから瞬く間に一週間ほど過ぎて。いつもの日々を過ごしていた。  特別何か良い事がある訳でもないし、妹は浩太と付き合い始めた現実は変わらないし。私が痩せた訳でもないけれど。  それでも好きな部活で楽しめて。お母さんもお父さんも大好きで。なんだかんだと自慢の妹で。好物の鳥の唐揚げや、グラタンを食べてご機嫌。友達のおしゃべりも楽しいし。ひなげしやホタルブクロ、ツツジが微笑み始めて。異常気象だなんだと言われても、草花は逞しく生きているし。なんだか私も、私のままでも良いじゃん、て思えてきた。  チートな魔法で別人になるのは、小説や漫画、ゲ-ムの世界で楽しめば良い。創作活動は、相変わらず下手くそだけれど、それでも中には気に入って読んでくださる方もいて。それで良い。それが幸せ。人間てきっと、私みたいな平凡な人が大半で。その平凡な人たちが世の中を支えてるんだ。そう考えたら、平凡て偉大じゃん! て思える。それを馬鹿にしたりする人がいたら、その人の方がおかしいんだ。  今日は部活がお休みだ。久々に、あの雑居ビルの屋上の庭に行ってみようかな。ともさんにまた会えるといいな。あの魔法の時間帯に。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加