おたずね

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 物体というものは決して消滅はせぬというのがこの世の理であったはずだ。であればこそ、焦らずともいずれ、きっといつかどこかからひょっこりと出てくるに違いないのだ。  小学校の時、僕になくしものを注意した教師に三回繰り返してこれを説明したが彼女の機嫌は直らなかった。女の人のご機嫌をとる難しさを教えてくれたのはあの女教師かそれとも母親か。  ふうと息を吐いて僕は席を立つ。桂華烏龍を淹れて落ち着こうじゃないか。うっすらとしたあの爽やかな金木犀の香りで、何か大事なことを思い出すかもしれないだろう、ねえ、ワトスンくん!
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