最後の一日

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「おーい、まだ歩くのかよォ」  ユウタは足を止め、前を行くミオに、不満の声を投げかけた。  ミオも足を止め、ふりかえって、ユウタをじろりとにらんだ。 「まだよ。まだ半分しか来ていない」 「マジかよ。おれ、もうくたびれちゃったよ」 「やめるの? ここでやめるなら、あたし、これからもずっとつきまとうけど」  女の目に険悪な光がやどる。トップスはグレーのスウェットパーカーで、ボトムスはジーンズという色気のない格好をしている。髪はショートボブで、化粧気のない顔だ。色気がないせいか、じっと立ってにらみつけられると、けっこうな迫力があった。  ユウタは、ちっ、と舌を鳴らした。 「わかったよ。行くよ。行けばいいんだろ」  投げやりにそう言うと、ミオのあとに続いて再び歩きだした。
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