錯覚のロリータ

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だから彼も承知している。入れたらわたしが怪我をすると。 シモンは、幼い女の子のような服を着て、可愛らしいブラジャーを着けているわたしを欲している。 大きすぎる自分のを自分でこすってわたしに見せないようにティッシュに出して、バスルームへゆき、捨てて、手を洗い、いい匂いのハンドクリームを塗り、東京中の闇を照らすような笑顔でベッドルームに戻って来る。昼の三時だ。彼の店は夜に営業する。 息がうまく出来ないわたしの細い髪を、大きな赤い手で梳き、また「you're so beautiful」と、さっきよりゆっくり、この文言を味わうように言う。 完全なイギリス訛りでもない発音が気持ちいい。 こんな服を着ているから、こういう男に目をつけられるのだが、両親はそんなことに考えは及ばない。 親がよかれと思ってしてきた躾が、わたしを、ダークなエロティックな世界に導いた。 十代の頃から、わたしの男性との関係はだからいつもそうなった。 もし誰かが、シモンや他の彼や、わたしを、変態だと揶揄するなら、何をもってして変態ではないと言うのだろう。 何をもってして普通だと言うのだろう。
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