錯覚のロリータ

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だからわたしはロリータの道を行っている。 はじめてわたしをいかせたのは高校の同級生だったけれど、彼のなかにも、ロリータを求める心を見た。 わたしはいくばくかの虚しさと共に、これでいいのだと思った。 わたしの事を勝手に美化し激しく好いた彼は、わたしの胸をずっと揉んでいた。 「あなたは綺麗だ……あなたは、綺麗だ」と、奇しくもシモンと同じことを言いながら。 シモンと違う点は、彼は泣きそうだったことだ。 けれどそれは十五才のわたしには、うざい事でしかなかった。 わたしは両親から逃れる翼を持たない。 だからわたしのような外見の女を好む男にいかされる。 わたしはまともな恋をしたことがない。例えば、先のオーソリティーの男の考えるような。 何がまともだと言えるだろう? わたしはいつも年よりも十も若く見られる。そしてロリータを演じ続けている。 シモンは、赤をメインとしたマドラスチェックのコットンのシャツを着て、わたしの、まだ裸のおなかを、出来うる限りの力を抜いたやり方でなぜた。
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