第03 買い物と幼馴染

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第03 買い物と幼馴染

う~ん、昨夜は危なかったかもな、少し心配に成って来た。 もっと気を引き締めて過ごそう。 「お早う御座います、今日も美味しそうな朝食ですね」 「有難う、沢山食べるんだよ」 「はい!」 寮長さんは、母さんみたいで本当に良いな。 「誠司お早う」 「3人共、お早う」 俺は敢えて3人の席をスルーした。 「誠司、此処に座りなよ」 「はい・・・」 仕方が無いか、此の学園では女子を敵に回したら、瞬殺されてしまう。 「今ね3人で誠司を誘って、買い物に行こうと言う話しをしてたのよ」 美穂が嬉しそうに話すと、他の2人も頷いた。 可憐は昨夜の事を何とも思って無いのだろうか、多少は恥ずかしさとか、気まずさが有っても良い様に思えるんだけどな。 美穂を通じて、可憐も仲良く成ったのは以外だな。 「誠司、聞いてる?」 「ああ、買い物だよね、オッケー」 「良かったね」 「そうね、男性の好みを知るには大事ですしね」 「私も、男性に選んで貰った事なんて無かったから、ドキドキするな」 可憐でも可愛らしい事を言うんだな。 今日から本格的な授業だ、来週からは5時限目までに成る。 「秋本、続きを読んで」 何故か俺の指名率が高い気がする。 立ち上がるたびに、熱い視線を感じるし、此れで良い成績など取れるのだろうか。 1時限目が終わった。 「秋本」 「はい」 「お前の2時限目は保健室だ、B組の体重測定を頼むな」 「先生、俺ってまるで見世物ですね」 「そうだが、何か問題でも有るか? そう言う世の中なのだから仕方が無いだろう」 「そうなんですね、因みに明日は?」 「C組だ」 この先生は、何故このセリフを真顔で言えるのか、俺には少し理解出来ない。 「秋本君、他のクラスの娘に惑わされないでね」 「誠司、気をつけてね」 「ははは、有難う」 俺は仕方無く保健室へ向かった。 「失礼します、秋本です」 予想はしてたけど全員が上半身裸だ、ブラジャーと言う物は、そんなに重い物なのだろうか? 「秋本君だわ、緊張しちゃうね」 「知ってた? 秋本君の好みは、平均的な体格の娘が良いそうよ」 「え~ 私の胸小さいし、嫌われちゃうかな」 はぁ、こう言う話は本人の居ない所でして貰いたい気がする。 「では、始めますね」 こうして、先日と同じ時間がやって来た。 「田代涼花【たしろすずか】さん、47キロです」 「久し振りだね、誠司」 「ん?」 「覚えて無いかな、京本涼花」 「涼花って、小さい時に隣に住んでた、涼花?」 「うん、お母さんが結婚して、名字が変わったんだけどね」 「凄く綺麗に成ったね」 「誠司に言って貰えると嬉しいな」 本当に可愛く成ってる、顔は赤く染めてるのに、胸を隠さないのは違和感が有るけどな。 「何? 何?」 「秋本君って、涼花さんの知り合いみたいよ」 「ええ~ 良いなぁ」 「それじゃ、またね誠司」 「ああ、またね」 涼花の裸を見て恥ずかしいと言うよりは、ドキドキしたって感じだ。 今度ゆっくり話がしたいな、古い知り合いがいる事が分かって、少しホッとした自分がいた。 勿論、此の話はA組に広まった。 「秋本君、B組に幼馴染がいたって本当?」 「うん、偶然って怖いね」 「誠司、その幼馴染さんが来てるわよ」 「有難う、美穂」 涼花がA組の痛い視線を浴びながら、俺を待っていた。 「涼花どうしたの?」 「昔を思い出しちゃって、今日少しお話出来る?」 「良いよ」 「有難う、20時位に誠司の部屋へ行くね」 「分かった」 小さい頃は、泣き虫で人見知りだったのに強く成ったんだな。 涼花のお母さんやお姉さんも元気にしてるだろうか、懐かしい気分って気持良くて好きだ。 「何時も有難う御座います」 「はいよ、沢山食べるんだよ」 ああ、此処にも懐かしさが有るな、今の生活で一番良いのは学食に居るときだな。 「誠司、食事が終わったら買い物に行くからね」 「うん」 忘れてた、買い物に行く予定だった、俺も一度ショッピング街を見ておきたかったし、丁度良いか。 どれだけ、男性用の品が有るのか知っておく必要がある。 「ご馳走様でした」 「さぁ、行こう」 可憐が先頭を歩き始める、勿論俺は一番後ろから付いて行く。 ショッピング街と言っても、10軒位の店が並んでるだけだった、それなりに生徒は買い物をしている様だが、注目が痛い。 「着いたわ」 お目当ては洋服か、それぞれ個性が違うし、どう言うのが似合うんだろうな。 「誠司、どんなのが好みか教えて頂戴」 「美穂・・・此処って下着売り場だけど?」 「そうよ、誠司の好みを知りたいのは当然じゃない」 俺は女性の下着を選んだ事も無いし、好みも無いんだけどな。 適当にと言うのは悪いか、一応合いそうな無難なやつを選んでおこう。 「さぁ、どれが好みなの?」 「う~ん、シマシマ模様とか純粋な白いのかな」 「余り過激なのは好きじゃ無いのね」 「そうだね、普通のが良いかな」 当然だ、体育の度に過激な下着を見せられるのは困る。 普通の下着なら、一応中学でも見てきたから耐えられるだろう。 「結局は買わないんだね」 お気に召す物が無かったのだろうか、ただ単に俺の好みを知りたかっただけなのだろうか・・・謎だ。 それからは、普通に服やアクセサリー、色々と連れ回された。 俺の好みを把握したいだけの様だ。 夜に成ってやっと開放された、学食も閉まっているだろうし、何か買って帰るしかないな。 夕食を買った後、迷子に成り寮に着いた時は、門限の20時を過ぎていた。 仕方が無く裏口へ周り、初日に貰った鍵で扉を開け部屋に向かう。 部屋に入ると、微かに良い匂いがする。 俺はベッドに腰掛け一休みしてから、食事を取る事にした。 「しかし、可憐達にも困った物だな」 突然と後ろから誰かに抱きつかれた。 「誠司は涼花の約束を守らないで、他の娘と遊んでたのかな?」 すっかりと忘れていた、今晩は涼花が昔話をしに来る予定だった。 「ご、ごめんね涼花」 「涼花は許せないな」 「そんな、幼馴染じゃないか」 「それなら、涼花との約束覚えてる?」 「えっと~、大きく成ったらお嫁さんに成るって話かな?」 パッと笑顔に成る涼花、しかしこの先きっと険しい顔に変わるだろう。 「流石、誠司は覚えててくれたんだね」 「でもさ、あれは幼い頃の話で有って、今はもっと慎重に選んだ方が良いんじゃないかな?」 「嫌、涼花は誠司が好きなの」 「それは有難う、嬉しいよ」 「今、ちゃんと約束してくれたら、涼花の体を自由にして良いよ」 成長した涼花は魅力的だ、此処で約束をしてしまっても良いのかも知れない。 いやいや、俺は何を考えているんだ、涼花の手が俺の手を胸へ導いて行く。 「涼花、下着は?」 「付けてないよ、下も履いてないよ」 「それより、涼花の胸はどう?」 「柔らかくて気持良いよ、それにドキドキしてくる」 涼花はパジャマのボタンを上から外して行く。 「直に触って見て」 「それは流石に不味く無いかな?」 俺の意見はスルーされた。 「もっと気持良いでしょう?」 「うん」 「涼花もだよ」 これ以上は不味い。 「涼花、随分と性格変わったんだね、昔は泣き虫で人見知りだったのにさ」 「お母さんと、お姉ちゃんの婚活を見て来てるからね、それに結婚して子供を産むなら好きな人が良いと思う高望みもあるわ」 「涼花、辛い思いをして来たんだね」 俺は無意識に涼花を抱きしめていた。 「誠司、涼花は今でも貴方が好きなの、諦めてた好きな人が突然現れたのだからね、仕方が無いでしょう」 「うん、分かるよその気持」 「今日は涼花も此処で泊まって良い?」 「其れは流石に駄目だよ、改めて話そう、今日はお帰り」 「誠司・・・頂きます」 咄嗟で避けれなかった、涼花からキスをしてくるなんて予想もしてなかった。 「ウグ、ウング、ハァ、ご馳走様でした」 「誠司、此れは2人だけの秘密よ、もしほかの娘に知れたら大変な事に成るわよ、私がね!」 「分かったよ、内緒にしといて上げる」 「有難う、少し満足出来たし、ご褒美まで貰ったのだから、今日の事は許して上げるわ」 「有難う、因みに私の部屋は208号室だから、好きな時に夜這いに来て良いわよ」 行く事は無いだろう。 「分かった、お休み」 「おやすみ~」 部屋に帰った涼花は独り呟いた。 「此れで私が1歩リードね、誠司は他の女には渡さないわ」 母さん、今の時代は仲の良かった幼馴染まで変えてしまうのですね・・・無事に卒業出来るか心配です。
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