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第04 街へのお出かけ
昨夜の涼花には驚いたな、随分と積極的に成ったんだ。
しかし、性格は兎も角、綺麗に成っていたのは嬉しかった。
悪い事をしたのは確かだし、昨夜の事は忘れて朝食にでも誘おうかな。
俺は身支度を整え、涼花の部屋の前に来た。
「涼花、朝食を一緒に取らないか?」
「誘いに来てくれたのね、有難う」
俺と涼花は朝食を受け取り、空いてる席に腰を下ろした。
「涼花、昨夜は驚いたよ、もう次からは無しにしてね」
「それは誠司次第かな、涼花が本気に成ったら、もっと凄いお仕置きしちゃうからね」
「余り怖い事を言わないでよ」
此の見た目と発言、過去のギャップからか、今の涼花には惹かれて行く物が有るのも事実だ。
「朝から楽しそうね」
「お早う、光」
最終的には、4人で食事をする事に成っていた。
今、俺の近くに居る娘は、美穂、光、可憐、涼花、其々個性が違う4人、皆が可愛く綺麗だと思っている。
食事を終えて、教室へ向かう途中に美穂を呼び止めた。
「美穂は、もうすぐ誕生日なんだよね」
「知ってくれてたのね」
「うん、生徒ファイルを閲覧してね」
「嬉しい~」
「明日の休日は外出許可を貰って、街へ遊びに行かないかな?」
「・・・」
「やっぱり、嫌かな」
「違うの、私はそう言う経験が無くて、迷惑を掛けちゃうかなと思ってさ」
喜んだり、困惑したり、表情の豊かな娘だな。
「それは大丈夫、此処で過ごす時と同じ様にすれば良いだけだよ」
「分かったわ、不束者ですが宜しくお願いします」
「ははは、宜しくね」
随分と大袈裟だ、街を一度見ておきたくて、折角だから誕生日の近い美穂に、何かプレゼントをして上げようと誘っただけなんだけどな。
顔を真赤にして、90度のお辞儀までされるのは、俺の方も恥ずかしい。
でも、喜んでくれてるみたいだし良いか。
今日もやって来た、恐怖の2時間目!
流石に、3日目に成ると慣れてくる、上手く胸から視線を外し顔を見る事が出来る様に成った。
此の仕事も今日で終わりだ、後少し耐えよう。
「白石美和【しらいしみわ】さん、48キロです」
「有難う御座います」
この娘も可愛いな。
「白石美穂とは姉妹です、美穂が4月生れで私が3月生れなんですよ」
「そうなんですね、美穂からは何も聞いて無かったから、知りませんでした」
「私の事は美和って呼んで下さい、母からの伝えで・・・」
「其れは美穂に聞いたかな、俺の事は誠司と呼んでね」
「はい、有難う御座いました」
姉妹揃って可愛いのか、凄いな。
最後の生徒も無事に終わり、俺は自分の教室へ戻った。
何だか教室の雰囲気が可怪しく成ったぞ?
「本日、最後の授業を始めるぞ、秋本前に来い」
「はい」
最後の授業、謎だった恋愛の時間、大体予想が出来てきた。
「秋本、誰か独りを選べ」
誰か独りと言っても、後々面倒に成るんでは無いだろうか。
「それでは、沢村光さん」
「沢村、良かったな、早速実戦が出来るぞ」
「はい」
恥ずかしそうにしてる光も良いな。
「後の者は、近くの者同士ペアに成る様に」
その後は、女性が男性に好まれる様に成る為の授業が始まった。
色々な手の繋ぎ方、腕の組み方、男性への見つめ方や抱きしめ方などなどだ。
「此処まで来て、第1ステップに入って行く、それはキスだ良いな」
教師はキスの大切さを熱弁している、女子はこんなにも涙ぐましい努力をしているのか・・・凄いな。
「さて、実際の見本をやって貰おうかな」
女子達がザワツク、光はその気満々だ、仕方がなく俺は光の唇へ顔を近づけた、後数ミリでキスをしてしまう。
「そこまで、秋本有難うな」
「いいえ」
「先生、何故止めたんですか?」
「沢村、後ろを見てみろ」
「ひぃ、凄い殺気!」
確かに、あのままキスをしていたら大騒ぎに成っただろう。
それを考えると、涼花とキスをした事は何としても、内密にしといた方が良いな。
日曜日の朝、俺と美穂は外出許可を貰い街へ向かおうとしてた。
「秋本君、くれぐれも気をつけてね」
「はい」
何故か、警備のお姉さんに心配される。
学園前からバスに乗り、10分程で駅前の賑やかな街に着く。
「美穂、考えたんだけど、アクセサリーとかどうかな?」
「うん、欲しいわ」
俺と美穂は1軒のアクセサリー屋へ入り、美穂の気に入った物を買って上げた。
「有難う、肌見放さず大事にするね」
その笑顔は、本当に嬉しそうで何時もより可愛く思えた。
2人でベンチへ腰を下ろし、小さい頃の話などをした、美穂と美和の仲は良いけど、結婚に関してはライバルであると言う認識な様だ。
「誠司、私飲み物を買ってくるね」
「それなら、俺が行くよ」
「大丈夫、直ぐ戻るから待っていて」
意外と気が利くし、優しいんだな。
「ねぇ、ねぇ」
「はい?」
「今って独り? お姉さん達と遊ぼうよ」
「あの連れが居るんですよ」
「連れ? 男?」
「いえ、女の娘です」
「何だ、それなら放っといて一緒に行こう」
「でも、きっと困ると思うし」
俺は4人の女性達に引っ張られて行く、いくら男でも4人相手では抵抗出来無い。
「あのう、遊ぶって何をするんですか?」
「そんなの決まってるじゃない、エッチな事よ」
「子供は出来なかったけど経験は有るから、気持ち良くして上げるわ」
「そんな、突然困ります」
「誠司~ !」
「美穂!」
「その方は、私の連れなんです、止めて頂けませんか?」
「まだ学生か、生意気に男を連れて歩くなんて、10年早いんだよ」
「そうそう、大して色気も無いくせにさ」
「・・・」
悲しそうな顔をする美穂、やっぱり俺がきちんと断らなければ行けないな。
「すいません、俺はこの娘と帰りますので・・・行こう美穂」
俺は美穂の手を取り、足早にその場から立ち去った。
「誠司、ゴメンネ怖かったでしょう」
「大丈夫だよ、美穂こそ有難うね」
日も傾きかけて来た頃、俺と美穂は学園へ向かうバスへ乗った。
暫く街には行きたく無いな。
「誠司、今日は有難うね」
「どう致しまして」
美穂と別れ自分の部屋へ帰り、ベッドへ横になった。
夕食まで少し休もう、母さん、街の女性は怖かったです。
「今日も沢山食べるんだよ」
「はい」
俺は夕食を持って席を探すと、何時ものメンバーから声が掛かる。
「誠司、こっちよ~」
「今行く」
今日は美和も一緒だ、此の食事の時間だけは、心から幸せを感じられる。
「誠司は、今日何処に居たの?」
「今日は街の見学にね」
「街ですか、何事も有りませんでしたか?」
「少し、怖い女性に絡まれたけど、大丈夫だったよ」
美穂の顔色から見て、一緒だったのは伏せといた方が良さそうだな。
「今度街に行きたい時は、皆で行きましょう」
「そうだね、心強いよ」
今は学生だから良いけど、社会に出たらどう成るのだろうかと、何時も考えてしまう。
母さん、やっぱり女性は怖いですね。
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