第04 街へのお出かけ

1/1
前へ
/127ページ
次へ

第04 街へのお出かけ

昨夜の涼花には驚いたな、随分と積極的に成ったんだ。 しかし、性格は兎も角、綺麗に成っていたのは嬉しかった。 悪い事をしたのは確かだし、昨夜の事は忘れて朝食にでも誘おうかな。 俺は身支度を整え、涼花の部屋の前に来た。 「涼花、朝食を一緒に取らないか?」 「誘いに来てくれたのね、有難う」 俺と涼花は朝食を受け取り、空いてる席に腰を下ろした。 「涼花、昨夜は驚いたよ、もう次からは無しにしてね」 「それは誠司次第かな、涼花が本気に成ったら、もっと凄いお仕置きしちゃうからね」 「余り怖い事を言わないでよ」 此の見た目と発言、過去のギャップからか、今の涼花には惹かれて行く物が有るのも事実だ。 「朝から楽しそうね」 「お早う、光」 最終的には、4人で食事をする事に成っていた。 今、俺の近くに居る娘は、美穂、光、可憐、涼花、其々個性が違う4人、皆が可愛く綺麗だと思っている。 食事を終えて、教室へ向かう途中に美穂を呼び止めた。 「美穂は、もうすぐ誕生日なんだよね」 「知ってくれてたのね」 「うん、生徒ファイルを閲覧してね」 「嬉しい~」 「明日の休日は外出許可を貰って、街へ遊びに行かないかな?」 「・・・」 「やっぱり、嫌かな」 「違うの、私はそう言う経験が無くて、迷惑を掛けちゃうかなと思ってさ」 喜んだり、困惑したり、表情の豊かな娘だな。 「それは大丈夫、此処で過ごす時と同じ様にすれば良いだけだよ」 「分かったわ、不束者ですが宜しくお願いします」 「ははは、宜しくね」 随分と大袈裟だ、街を一度見ておきたくて、折角だから誕生日の近い美穂に、何かプレゼントをして上げようと誘っただけなんだけどな。 顔を真赤にして、90度のお辞儀までされるのは、俺の方も恥ずかしい。 でも、喜んでくれてるみたいだし良いか。 今日もやって来た、恐怖の2時間目! 流石に、3日目に成ると慣れてくる、上手く胸から視線を外し顔を見る事が出来る様に成った。 此の仕事も今日で終わりだ、後少し耐えよう。 「白石美和【しらいしみわ】さん、48キロです」 「有難う御座います」 この娘も可愛いな。 「白石美穂とは姉妹です、美穂が4月生れで私が3月生れなんですよ」 「そうなんですね、美穂からは何も聞いて無かったから、知りませんでした」 「私の事は美和って呼んで下さい、母からの伝えで・・・」 「其れは美穂に聞いたかな、俺の事は誠司と呼んでね」 「はい、有難う御座いました」 姉妹揃って可愛いのか、凄いな。 最後の生徒も無事に終わり、俺は自分の教室へ戻った。 何だか教室の雰囲気が可怪しく成ったぞ? 「本日、最後の授業を始めるぞ、秋本前に来い」 「はい」 最後の授業、謎だった恋愛の時間、大体予想が出来てきた。 「秋本、誰か独りを選べ」 誰か独りと言っても、後々面倒に成るんでは無いだろうか。 「それでは、沢村光さん」 「沢村、良かったな、早速実戦が出来るぞ」 「はい」 恥ずかしそうにしてる光も良いな。 「後の者は、近くの者同士ペアに成る様に」 その後は、女性が男性に好まれる様に成る為の授業が始まった。 色々な手の繋ぎ方、腕の組み方、男性への見つめ方や抱きしめ方などなどだ。 「此処まで来て、第1ステップに入って行く、それはキスだ良いな」 教師はキスの大切さを熱弁している、女子はこんなにも涙ぐましい努力をしているのか・・・凄いな。 「さて、実際の見本をやって貰おうかな」 女子達がザワツク、光はその気満々だ、仕方がなく俺は光の唇へ顔を近づけた、後数ミリでキスをしてしまう。 「そこまで、秋本有難うな」 「いいえ」 「先生、何故止めたんですか?」 「沢村、後ろを見てみろ」 「ひぃ、凄い殺気!」 確かに、あのままキスをしていたら大騒ぎに成っただろう。 それを考えると、涼花とキスをした事は何としても、内密にしといた方が良いな。 日曜日の朝、俺と美穂は外出許可を貰い街へ向かおうとしてた。 「秋本君、くれぐれも気をつけてね」 「はい」 何故か、警備のお姉さんに心配される。 学園前からバスに乗り、10分程で駅前の賑やかな街に着く。 「美穂、考えたんだけど、アクセサリーとかどうかな?」 「うん、欲しいわ」 俺と美穂は1軒のアクセサリー屋へ入り、美穂の気に入った物を買って上げた。 「有難う、肌見放さず大事にするね」 その笑顔は、本当に嬉しそうで何時もより可愛く思えた。 2人でベンチへ腰を下ろし、小さい頃の話などをした、美穂と美和の仲は良いけど、結婚に関してはライバルであると言う認識な様だ。 「誠司、私飲み物を買ってくるね」 「それなら、俺が行くよ」 「大丈夫、直ぐ戻るから待っていて」 意外と気が利くし、優しいんだな。 「ねぇ、ねぇ」 「はい?」 「今って独り? お姉さん達と遊ぼうよ」 「あの連れが居るんですよ」 「連れ? 男?」 「いえ、女の娘です」 「何だ、それなら放っといて一緒に行こう」 「でも、きっと困ると思うし」 俺は4人の女性達に引っ張られて行く、いくら男でも4人相手では抵抗出来無い。 「あのう、遊ぶって何をするんですか?」 「そんなの決まってるじゃない、エッチな事よ」 「子供は出来なかったけど経験は有るから、気持ち良くして上げるわ」 「そんな、突然困ります」 「誠司~ !」 「美穂!」 「その方は、私の連れなんです、止めて頂けませんか?」 「まだ学生か、生意気に男を連れて歩くなんて、10年早いんだよ」 「そうそう、大して色気も無いくせにさ」 「・・・」 悲しそうな顔をする美穂、やっぱり俺がきちんと断らなければ行けないな。 「すいません、俺はこの娘と帰りますので・・・行こう美穂」 俺は美穂の手を取り、足早にその場から立ち去った。 「誠司、ゴメンネ怖かったでしょう」 「大丈夫だよ、美穂こそ有難うね」 日も傾きかけて来た頃、俺と美穂は学園へ向かうバスへ乗った。 暫く街には行きたく無いな。 「誠司、今日は有難うね」 「どう致しまして」 美穂と別れ自分の部屋へ帰り、ベッドへ横になった。 夕食まで少し休もう、母さん、街の女性は怖かったです。 「今日も沢山食べるんだよ」 「はい」 俺は夕食を持って席を探すと、何時ものメンバーから声が掛かる。 「誠司、こっちよ~」 「今行く」 今日は美和も一緒だ、此の食事の時間だけは、心から幸せを感じられる。 「誠司は、今日何処に居たの?」 「今日は街の見学にね」 「街ですか、何事も有りませんでしたか?」 「少し、怖い女性に絡まれたけど、大丈夫だったよ」 美穂の顔色から見て、一緒だったのは伏せといた方が良さそうだな。 「今度街に行きたい時は、皆で行きましょう」 「そうだね、心強いよ」 今は学生だから良いけど、社会に出たらどう成るのだろうかと、何時も考えてしまう。 母さん、やっぱり女性は怖いですね。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加