2022年 特別番外編『Happy Halloween 海里&柊一Ver. 』

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2022年 特別番外編『Happy Halloween 海里&柊一Ver. 』

「柊一、今日はハロウィンだよ。去年は可愛いナースの姿になってくれて喜ばせてくれたね」 「え! あっ……あれはもう忘れて下さい。恥ずかしいです」 「ふっ、そうかい? 俺はミイラ男になれて楽しかったのに」  海里さんは朝から上機嫌だが、僕はナースの服装で海里先生に包帯を巻いたことを思い出して、耳まで赤くなってしまった。 「ハロウィンの魔法は、僕には刺激が強すぎました。もう無理ですよ」 「そうかい? じゃあ今年は自粛しようかな」 「え……そんな、せっかくですから仮装して下さい」  僕はともかく、海里先生の楽しみは尊重したい。   「ふっ、どんな姿になって欲しい? 柊一の仰せのままに変身するよ」  すると僕たちの会話をニコニコと聞いていた雪也が、手を挙げた。 「はい! はい! 今年は僕が海里先生の手術のお手伝いをしたいです!」 「え? 雪也が」 「兄さまも一緒にしましょうよ。去年のお衣装があるんでしょう?」  雪也ってば、僕にまたナース服を着せようっていうの? あれは資格がなくても着られるのは分かったけれども、足下がスースーして恥ずかしい。 「あれは雪也が着るといいよ」 「本当ですか! じゃあお借りしようかな? 海里先生、僕たちせっかくだから怪しくブラックなドクターとナースになりません?」 「ははは、雪也くんはノリノリだな。しかし黒い手術着か。そんなの売っているかな?」  壁際で話を聞いていた桂人さんがニヤリと笑う。 「そんなのお安いご用だ。染料で染めておきますよ」 「流石、有能な執事だな。ついでに患者役の怪物も調達しておいてくれよ」 「くくっ、いいですよ」 「楽しそうですね。僕は観客に徹します」  夜になり、海里先生は黒い手術着姿に、雪也は黒いナース服に変身した。海里先生の明るい色の髪と逞しい身体に映えて、大人っぽくて素敵だ。雪也もさまになっているね。 「海里さんとても似合っていますよ。フォーマルな手術着ですね」 「フォーマルと表現するなんて、君の言葉は相変わらずこんな時でも濁りがないね」 「兄さま、兄さま、僕はどうですか? 僕、可愛いですか」  雪也は恥ずかしがりもせず、小首を傾げてニコッと微笑んだ。  その姿が溌剌としていて、黒いナース服なのに白衣の天使のように見えて、手放しで褒めてしまったよ。 「ゆきは天使みたいだよ」 「もう~ 兄さまは僕に甘々ですね」 「雪也、メスを」 「はい!」  雪也が手渡したのは、ケーキカット用のナイフだった。  ワゴンには桂人さんが用意した……世にも不思議な色のケーキが置かれていた。流石に海里先生も眉をひそめる。 「ところで……どうしてこんなまずそうな色なんだ? 生クリームが青いなんてありか」 「特別な漢方で染めたんですよ」 「……おどろおどろしいな」 「ははっ、怪物を調達してこいと言われたので、腕によりをかけて作りましたよ」 「くくっ、桂人は完全に遊んでいるな」 「楽しいですね、なんの催しだか知らないが愉快だ。なぁテツさん」 「あぁ、あれを毒味するのは柊一さんだと思うと、気の毒だが」  朗らかに笑う桂人さんの横には、いつの間にかテツさんもやってきて笑っている。 「僕のことなら、大丈夫ですよ。どんなお料理でも美味しくいただきます」 「やった! 海里先生、手術の続きをしましょう」 「あぁ、そうだな」    僕は椅子に座って、その様子を見守った。  大切な人たちが集い、和やかな時を過ごす。  イベントも楽しいが、それが一番幸せなことだ。 「さぁどうぞ」  ケーキは苦くて食べるのが大変だったけれども、食べるとポカポカと身体が温まった。 「ジンジャーケーキですよ。柊一さん」 「だからなんだね、こんなにポカポカなのは、今なら何でも出来そうだな」 「ははっ、あとはお二人の時間ですよ」  桂人さんに支えられるように、僕は一足先に部屋に向かった。 「柊一さんも見ているだけでなく、羽目を外すといい」  桂人さんが僕に濃い紅茶を1杯。 「これで絶対に眠れなくなりますよ」  桂人さんがウィンクして、甘く微笑む。  口に甘いチョコレートを放り込まれる。 「さぁここからの主役はあなただ!」  大人のハロウィンはこれからだと、秘めやかに囁かれドキドキした。  急に身体が火照ってきたので、自分から衣類を脱いで裸になり、そのままベッドに潜り込んだ。  枕元には、白い包帯を置いて……  僕のブラック……待っています。  これで僕を束縛しちゃって下さい。 あとがき **** Happy Halloween!! 控えめな慎ましい柊一も最後には崩れましたね。 桂人ってば〜そのチョコってまさか媚薬入りじゃ🤭 この後の海里先生の幸せそうな顔を想像して下さい💕 ちなみに去年のハロウィンSSはこちらです https://estar.jp/novels/25598236/viewer?page=436&preview=1  
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