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「ふぅ」
大掃除が終わった後。
「ねぇ、おばあちゃん」
「なんだい?」
「コレ、掃除している時に見つけたんだけど……」
念のため……と、私は祖母に掃除中見つけたこの写真を確認してもらったのだけれど……。
「んー? なんだろうねぇ。この写真」
「え? おばあちゃん知らないの?」
「うーん。カラー写真だし、少し年季は入っている感じはするするんだけどねぇ」
「…………」
確かに、よく見るとこの写真の端が少し黄ばんでいる。
「そっか。この写真に写っている子、お母さんの小さい頃の友達の写真かなって思ったんだけど……」
実はパッと見た感じ、最初は「お母さん?」と思ったくらい似ていた。ただ、よく見るとちょっと違う。
「そうかい。それは……悪いねぇ。分からなくて」
「ううん、いいの」
「……」
私は少し残念そうにしていた……らしい。全く、覚えていないけど。
「……ん? ちょっと待って」
しかし、一緒に写真を見ていた母は私の発言に驚いた様子で、祖母が持っていた写真を横からもう一度見た。
「なぁに?」
「今、あなた『子』って言ったわよね?」
「え? うん……」
――なぜだろう。
「母さん、ちょっとそれ貸して」
母はなぜか写真を目を凝らす様に、ジーッと目を細めて見ている。そして、隣にいる祖母に何やら尋ねている。
「…………」
なんだろう、この沈黙と二人のやり取りが……怖い。
「あの……ね。驚かないで欲しいんだけど……」
そう私に言ってきた母の表情は、なぜか深刻だ。
「なっ、なぁに?」
「わっ、私たちには……この写真に『人』が写っている様に……見えないのよ」
「……え」
「実は、おばあちゃんも見えないと言っているの……」
母がそう言うと、祖母は母の言葉を肯定するように頷いている。
「…………」
私は……その時のなってようやく、知った。
母が「キレイ」と言っていたのは、写真に写っていた『桜』の事で、私が「キレイ」と言った『女の子』とは全く『違っていた』という事を――。
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