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怪奇な壺
美女は立ったまま大蛇と戯れていた。大蛇は美女の太ももまで下りてくると彼女の股に頭を何度も突き上げたりした。到底、美女の体内に潜り込める太さではなかったが大蛇のエロティックなアタックに観客は手に汗握る興奮を覚えた。祥太は、その意味を正確には理解していなかったが、その蛇の動きに反応する美女の怪しげな姿態の動きは幼い祥太の中に初めて男を目覚めさせた。祥太は訳のわからない興奮で全身が熱くなり思わず身震いさえした。
いつまでも彼女を見ていたかったが、大蛇と美女は間もなく退場し、代わって現れたのは1メートルもある大きな壺を抱えた大柄な黒人の男だった。彼は壺をテントの中央に置き、何か呪文を唱え始めた。呪文を唱えると不思議なことに壺はグラグラと揺れながら少しづつ大きく膨らみ始めた。観客からどよめきが起こった。黒人の魔術師は唇に人差し指をあて、
「シーーーーーッ!」
と息の声を伸ばした。
観客はドッキリして静まり返った。すると魔術師はベルトに刀のように差していた金色の笛を取り出した。
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