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白い蛇
美女の体を舐めるように這いずり回っていた大蛇の舌先は、やがて固く太くなり、その先端が大きく膨らみ始めたかと思いきや、その突端の皮がめくれ真っ白い小さな蛇がニョロリと出てきた。もう一匹、もう一匹、次々と白い蛇は7匹も出た。
♬ヴォ~~~~ヴォォォ~~~~
蛇使いは奇怪でリズミカルな音楽を狂ったように吹き鳴らす。
大蛇はズルズルと壺から這い出し、巨大な全身を露わにした。直径70㎝もある太い体の全長は10mもあった。鱗は玉虫色に照り輝き、腹部はドス黒い紫色をしていた。その巨体をグルグルと美女に巻き付け、美女はまるで蛇に絞り出されるかのように渦巻いた蛇の巨体の上に押し上げられた。
渦巻いた大蛇の上に、ゆったり横になった美女を、大蛇の真っ赤な舌先が優しく嘗め回す。美女はウットリと心地よさそうに大蛇の舌と戯れていた。
♪フ~~~フォフォ~~~
蛇使いの音楽は甘いロマンチックな曲に変わる。すると生まれたばかりの白い蛇たちは、巨大な蛇の体をスルスルと昇り始め、美女の太ももの内側にめり込んで行く。
♪フ~~~フォフォ~~~
甘く切ないメロディーと共に白いヘビたちは美女の身体の中に消えて行ったのである。
観客は皆、身体は燃えるように熱く、頭は凍りついていた。
美女は何もなかったように横たわっていたが、やがてゲボッと口から白い蛇を吐き出した。次々と7匹の蛇を吐き出すと、彼女は、すっくと大蛇の上に立ち、スッキリした笑顔を見せて観客にお辞儀をした。
ショーは終わった。
祥太の蛇との葛藤は、この日から始まった。
完
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