十二杯の年越しそば

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俺は眠くて眠ってしまった。年越しテレビも見ずに。 目を覚ましたのは十二杯目を共に食べたあいつからの電話だった。 「もしもし明けましておめでとう」 俺は礼儀でそう言った。しかし、思いもよらぬ返事が来た。 「おめでとうじゃないよ。お前にやっと繋がってよかった。今、令和二年だって。どうなってんの?俺の家族もいないんだよ。」 俺はテレビを付けてみた。 新春テレビがやっている。令和二年明けましておめでとうだって…何故なんだ?令和ってなに?2020年?今日は2009年の一月一日じゃないのかい?ここはまだ俺の家なのか?その時、サイレンの音がした。テレビでは漫才師たちが笑いあっている。
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