十二杯の年越しそば

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昨夜のことだ。12月31日のこと。 会社の同僚と近くの蕎麦屋に行き、少し早めの年越し蕎麦を食べようと言うことになった。その店は最近出来たばかりのわんこそばの店であった。その日は一杯十円と格安だった。 看板には「一杯食べて年を越そう」と書いてあった。とてもとても腹が減っていた。 「いらっしゃい」 威勢のいい店主の声がした。 まずは皆で一杯頼んで食べた。 もちろん、そんなのでは腹は満たされなかった。二杯目を頼んだ。三杯目、四杯目、頼むごとに少しずつ同僚たちは帰っていった。 十二杯目になり、そろそろ帰ろうかという頃には仲の一番良いやつと二人であった。 「そろそろ行くか」 俺は言った。 「あと一杯だけ食べるわ」 「お前、家族が待ってるだろ」 「そうだな、止めとくわ」 二人で店を出た。もうすぐ年が明ける。 家に帰り、一人年越しの準備をした。 そう、あれが数時間前の話のはずなんだ。
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