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アルセンが一応、年上で軍学校の先輩と言うことで、諌めの言葉を口にしますが通信機変りになっている手鏡からはちっとも改める調子のない声で返事が返ってくる。
『おや、ワシってば素直なだから♪。
お嬢さんの手前、ワシも優しいお茶目でイタズラ好きな賢者様でいないといけないからね、気を付けよう』
『純粋に気持ち悪いな』
後輩の言葉が全く響いてないようなので、旧友として遠慮と容赦を普段以上にマイナスにして伝えてやると、″……手厳しいねぇ″と漸くグランドールの馴染みのある声に戻した。
声が戻った事で褐色の大男の方は漸く真面に言葉を返す。
『しかし、賢者殿は何かしらに化けているときは一人称は″ワシ″か、誰の真似のつもりかのう?』
『そりゃあ、セリサンセウムの全て民から慕われる英雄グランドール・マクガフィン殿に決まっているじゃないか。
まあ、化けているって言うことも加味して、真似させてもらっているよ、グランドール』
最初は陽気に、次の瞬間には声は同じ筈なのに、剣呑を感じさせる物言いにどうやら昔の勘を捨てているわけでもないと判ったからグランドールは旧友に尋ねる。
『じゃあ、とっとと内出血でもキスマークでも、お前の好きな解釈で構わんから、アルセンの背中に残った痕を消す方法を教えろ、賢者殿』
『やれやれ、このまえキングスと組手をして綺麗な項に当て身しちゃって調べたのを親友達のイチャイチャの為に使うのか……』
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