軍学校 教官室

2/36
244人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
ピジョン曹長に些か申し訳ないと思いつつも、軍人という職業柄、不測の事態(と表現するのは大袈裟だが)が多いのは確かなので、"昼食をとる時間を考えていなかったのは反省はするが、作業を中断しなかったのは後悔はしていなし、寧ろ感謝している"という状況でもあった。 のっぽの人の良い青年武官にしても、作業を済ませない事には仕事が積み上がり、自分の時間がなくなってしまうので、1時間の我慢で3時間の仕事量を熟す上司の手伝いをする方が利口だという事は弁えて、少々空腹ではあるが追随をしている事に微塵の恨みもない。 副官という役割は所謂(いわゆる)"女房役"と例えられる様なもので、主人である存在に何にしても付随して阿吽の呼吸で対応してくれるのも仕事の内と、アルセンは思っていて、ピジョン曹長も、出逢う迄は何事も行動を共にしていた同期入隊の双子の親友が任期で軍退役後に再就職した中で、軍に残りアルセンの配下になっている事で、十分心得ていた。 ただ、近年はどうにも"女房役"という表現はなんやかんやのコンプライアンスに引っかかるらしく、パドリック中将にピジョン曹長も個人的な世間話位にしか使わない(えない)表現にもなっている。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!