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不安な気持ちなまま向かったのはとあるトンネル
どうやら此所はさっきの学校の人たちが遠足に通った道なんだとか
このトンネルの先で事故に会ったらしい
「その事故というのは?」
「崖崩れだね。今は改善されてるけど。きっと雨上がりで緩んでいたんだろうって父さんが言ってた」
「それで、此所にも子供の霊が出るってわけね」
「そう言うこと」
ひょえぇ~
「とにかく入ってみないと始まんないわけだけど」
「行くしかないんでしょ?さっさと行って戻りましょ。長居はあまりしたくないわ」
「い、行きましょう」
どうしよう、怖くて足がすくんできた
雰囲気ありすぎでしょ
「リンちゃん大丈夫?無理しないで待っててもいいよ」
「いえ。だ、大丈夫なので。い、一緒に行きます」
「そう?じゃあ行こうか」
トンネルの中をゆっくりと進む
中は風が吹き抜けていて少し涼しい
靴音が余計に響く
「何か感じる?」
「いえ、私は何も」
「ユウナは?」
「……」
「お姉ちゃん…?」
「えっ?あ、私も特に感じないかな」
さっきから俯いている
やはりお姉ちゃんの様子がおかしい
「大丈夫かい?さっきから変だけど」
「大丈夫よ。それより、ヒカルはどうなの?」
「俺?俺は、こう言うの鈍感だからなぁ」
「そう」
そう話しているうちに出口が近づく
出口に出るとそこは山道へと続く場所だった
「この辺で崖崩れが起きたらしいよ。それで生徒や教師は巻き込まれた」
話を聞く限り相当大きな被害だった
此所にも慰霊婢があった
そこにも黙祷を捧げる
「さて、何も起きなかったし。戻ろうか」
「はい。そうですね」
「……」
戻ろうとトンネルに向かおうとした時だった
「な、おい!」
お姉ちゃんの足どりがおかしく、ふらつき始める
「お姉ちゃん!」
ドサッ
やがてその場に膝をついた
倒れそうになり思わず支える
「大丈夫か?」
「……」
俯いたままのお姉ちゃん
そして何か呟き始める
「行か…なきゃ…」
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