2.ようこそ海賊の世界へ

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戻る時に入ったトンネルは、また雰囲気が変わったような気がした 重い空気は感じられなかった 船長とタクマさんとカズキさんは、またまた通った学校関係者に許可を得て敷地内に入る事ができた 中は、思ったよりきれいで廃校とは思えない程だったらしい 全部は見て廻れ無かったが、これと言った移乗は見つから無かった 生徒や教師の私物は1つも無かった きっと、遺族が持ち帰ったのだろう あれから、お姉ちゃんの様子に変わりない 根本的な解決ではないが、危なくはないだろうと判断し調査は終了した 翌日、報告がてら私達はカフェに来ていた 危険性は低いが、油断はしないこと お祓いはしといた方がいいと伝える 「本当にありがとうございました。2号店も安心して経営出来そうです」 深々と頭を下げる店主 「気にすんな。俺らも世話になってるしな」 「2号店開店楽しみにしてるわ」 「はい。準備は順調に進んでいます。開店はまだ先ですが必ず連絡しますので、是非皆さんでいらしてください」 「勿論です」 「必ず、食べに行くっすよ」 「はい。では、ごゆっくり」 そう言うと、店主は奥のカウンターへと向かっていった 「しかし、2号店かぁ…。成長したね」 「そうだな。昔は、もっと小さい店だったんだがなぁ」 「それ、先代の時っすね。懐かしい」 2人は先代の時からの常連客なんだ 長い付き合いだ 「そういえば、次期店主も決まっているらしいわね」 「息子さんが継ぐって話だね。これもまた先だろううけど」 「今、修業中でしたね」 「18歳だっけ。成長って早いね」 「だな。おっ、来たようだぜ」 話していると、店員さんが料理を運んでくる それは、大きいホール型のアップルパイ あれ? 「おまたせしました」 「えっ?これメニューにありましたっけ?」 「俺が頼んだ」 「へっ?」 「こちらもどうぞ。当店スペシャルのアールグレイティーでございます」 「えっ?」 どういうこと? よく分からず、頭にハテナが浮かぶ 「今日、此処に来たのは調査報告。そしてリン、お前の歓迎会だ」 「えっ?」 えぇぇぇぇ!? 「前に、アップルパイが好きと仰ってたので。ご用意させていただきました」 凄い。覚えてたんだ 「あ、ありがとうございます」 「流石、店主だな。昨日頼んといで良かったよ」 「じゃあ、船長が言ってた頼みたいことって」 「そう。これのことだ。俺らカメリア海賊は新入りが入ると、此処で歓迎会するんだ。まぁ、リンの場合、いろいろ起こって、遅くなっちまったがな」 「でも、とても嬉しいです。ありがとうございます。私、皆さんの仲間として力になれるよう頑張ります」 「期待しているぞ」 そう言い微笑むと、船長は立ち上がる 「さて、主役から一言もらったし、例のやついくか」 例のやつ? そう思っていると皆も立ち上がる。 「せーの!」   ―――ようこそ海賊の世界へ(終)―――
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