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では、どうして呪いなんてというと、論文にしかヒントがないのだ。真剣に読み始めると、その難しさに目眩がしてくるほどで、でも一見しただけで色物のトンデモ論文だと解る不可思議なものだ。そう、表面的に追い掛けていると、これはあり得ないと思ってしまう内容だった。
しかし、数学の部分をある程度理解しているらしい史晴に言わせるとペンローズのようだという。
ペンローズといえば四次元に関する理論が有名だ。つまりは時空に関する理論で有名。この時空には当然のようにブラックホールが含まれている。そして、ブラックホールを考える上で欠かせないものの一つに「ペンローズ図」と呼ばれるものまである。つまり、ブラックホールを語る上で必要不可欠な人物なのだ。が、その数学は難解かつ高度。素人は絶対に太刀打ちできないし、物理学者だって理解できない人が多い。そんな代物なのだ。
「急に難しくならないでよ。というか、ガチに物理学に関係あるなんて」
ファンタジーがいきなり現実と噛み合ってしまった瞬間だ。いや、SFだってサイエンス・フィクションじゃなく、サイエンス・ファンタジーと言われることもあるし。って、思考が捻れた。
しかし、カワウソ姿のままでも生き生きと論文を読む史晴を見ていると、これが解決の糸口というのは助かったかも。そうも思うのだった。
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