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史晴が伶人と清野の論文の解読に取り組んでいる間に、美織にはやることがあった。
「こういう防護服って、想像しているより暑いですね」
「そうだな。よりによって真夏だし」
防護服に身を包み、この間見つけた放射性物質の取り出し。それが美織に課せられたやることだった。葉月も付き合ってくれるが、二人揃って初めての防護服にやられていた。しかもよりによって八月。
「暑い」
「致し方ない。やるぞ。早くやれば早く脱げる」
「はいっ」
もはや体育会系のノリで押し切るしかない。そう腹を括った二人は、もぞもぞと動き難い服を相手にしつつ、頑張って植木の間へと分け入った。ガイガーカウンターを取り出し、放射線量の高いところを見つけ出す。
「ここですね」
「ああ。問題はどのくらい掘らなきゃならないか、か」
スコップを構えて、葉月はやれやれという顔をしている。が、覚悟を決めるのは早かった。
「おりゃっ」
「先生。似合い過ぎです」
足で踏んずけてざくっとやる姿が手慣れていて、美織は思わず感心してしまう。
「アホ。感心してないで手伝え。その辺の木が邪魔だ」
「いや、引っこ抜けないですから」
低木とはいえしっかりした木だ。それをあっさり除けろと言われても困る。
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