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「ちっ。まあいいか」
「いいなら言わないでくださいよ」
美織は呆れつつ、出てきた物質が何であれ入れられる、耐放射線容器を用意しつつ呆れた。まったく、たまに破天荒を発揮するから困ったものだ。
「おっ」
「出ましたか?」
五分くらい掘り返したところで手応えがあった。葉月と美織は慎重に出来上がった穴を覗き込み、手で土を除けた。すると、金属製の箱が出てくる。金メッキの施されているらしい小さな箱に、二人は思わず首を傾げた。
「計測」
「はい」
すぐにガイガーカウンターで計測してみると、高い放射線量を記録する。これで間違いない。
「でも、何でしょう。これ」
「もはやダークマターだと言われても驚かないけどな」
「まさか」
と笑い飛ばせたら良かったが、今やそれは冗談では済まされない。二人して思わずじっとその箱を見る。
「いざとなったら加速器を導入してやる。それよりも回収だ」
「は、はい」
「が、手袋をしていても直接触れるのは危険かもしれん。あれで挟もう」
「了解です」
いざという時のために持って来ていた巨大レンチでそれを挟み、慎重に持ち上げた。それを一度地面に置き、用意しておいた容器へと入れる。
「除染しないと駄目ってことですよね」
「そうだな。この辺りだったら野晒しにしておいても問題ないだろうけどな。放置するのも気持ち悪いか」
「野晒しって」
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