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「――」
放射線を扱える実験室にて。目を輝かせる徳井と学を前に、葉月は当然だと大声で主張し、その様子に美織は呆れるという図が展開されていた。予想通りというか、想定の範囲内というべきか、二人には史晴が奇妙な呪いを掛けられていることまでばれてしまっている。そして、好奇心をくすぐられまくっていた。
「それで恨まれているかどうかって訊いてきたわけか。うん。しかしまあ、放射性物質とは本格的な嫌がらせだな」
「もはや嫌がらせレベルではなく、相手は仕留める気なんですよ」
ワクワクしている学に、美織は冷静なツッコミを入れておいた。これは史晴の寿命に関わる問題だ。もっと冷静にかつしっかりやって貰わないと困る。
「おっと。そうだった。しかし、この放射性物質は何なのか、だな。マジでダークマターとか宇宙線レベルだとしたら、この部屋でも扱うのは危険だぜ」
そして、冷静になった学は実験家としてまともな意見を述べた。たしかにそれくらい出るとなると、本当に加速器のあるような場所にお世話にならなければならない。
「まあ、大丈夫だろう。今まで何の影響もなかったし、ここでも、多少危険だなというレベルしか検出してないよ」
そう言って徳井は、容器に設置されている検出器の数値を読み取って言った。
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