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「先輩」
「何だ?」
カワウソのままの史晴に見つめられ、今さっき考えたことを手早く答えた。数学的には何も解っていないが、大枠は大統一理論じゃないか。そう伝えると史晴も裕和も驚いた。
「なるほど。禁忌の香りがぷんぷんするな。しかも今、その統一理論のためには素粒子の標準理論を見なさなければってところまで来ているしね」
裕和はあり得るなと頷いた。そしてどう思うと史晴を見る。
「そうだな。あれは超対称性粒子を仮定したり、それこそ別次元やブレーン理論、超弦理論となっている」
「ああ。まさに証明できない領域だな」
そう言って三人は、正確には二人と一匹は固まってしまった。証明不可能な領域は、すでにそれだけ議論されているのだ。では、他の人には何も起らないのは何故か。
「違う。考え方が違うんだ。しかも、俺たちは次元の行き来を論じ、それが触れてはならない領域、つまりは知ってしまっては駄目な部分を見つけるんだ」
「そうだな。今ある理論はこの宇宙で確認できるか、もしくは別の次元が丸まっているとか、薄い膜だとか、泡状だとかって議論だもんな。多層的ってのとは、ちょっとだが違う」
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