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「これを虚数にする。それが答えに繋がるはずだ」
「ああ。そうか。これは別に恒星から生まれたブラックホールに限らないってことか」
「ああ。質量に関係するだけだからな。時空の穴だとしても、それはこちらの空間にある質量と向こう側にある質量によって出来ているはず。いや、そこでプラスとマイナスが相殺されるからこそ発生する穴だ。そう、まさに特異点として現れる。それが僅かに虚数、マイナス要素が大きくなることで通過できるようになってしまうんだ」
史晴のざっとした説明に、全員がそれだと頷いた。最後の問題は、その微妙な数値を弾き出せる数式を導き出すことが出来るのか。途中までは伶人がやっているとはいえ、かなり難しい数式が続くことになる。しかも今度はペンローズの理論にホーキングの理論を足すのだ。一体何の因果だと、物理学に詳しい人は思うことだろう。そのくらい凄い話になってくる。
「後は、あの箱の傍でやるべきじゃないか?」
ここで解くのは危ねえぞと学が提案する。するとすぐに葉月が史晴を持ち上げた。
「うおっ」
「さあ、行こうか。最後の鍵を開けに。ここにいる奴らは全員、向こう側に神がいることを知っているんだ。最後の瞬間は全員で迎えるぞ」
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