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葉月はそう言って全員を実験室へと招いた。美織はホワイトボードを持って追い掛けることになる。
「おう。もう何か解ったのか?」
そこにはすでに待機を命じられていた徳井がいて、のほほんとしていた。謎の物質がある部屋で呑気に論文が読めるなんて、なんとも肝の据わっていることだ。
「もうちょいまで来たんでな。一応の避難も兼ねてだ」
葉月はそう言ってカワウソを箱が保管されている容器のある台の上に置いた。今までだったらそれでブラックホールが出来るのではとビビっていたというのに、何とも大胆なことだ。もちろん、カワウソの史晴が傍に寄っても、箱には変化がなかった。
「ヤバくなったら開けろと言っていたくらいだからな。箱に近づくのは安全なんだよ」
「ですよね」
髭を撫でながら解説するカワウソ史晴に、美織はそれもそうだと頷いた。しかし、徳井はそんな史晴を面白そうに見ている。
「いやはや。本当に占部だ」
「楽しまないで手伝え」
にこにこと観察を始める徳井に、葉月は容赦がない。万が一に備え、いつでも箱を開けられるようにしておけ。そういう命令だ。
「ほいほい。じゃあ、一応はこの部屋をいつでも遮蔽できるように準備しておくよ」
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