63人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言って徳井は名残惜しそうに実験室の横にある操作室へと消えていった。やはり、誰もがカワウソを可愛く思っている。が、その事実が史晴には気に食わないようだ。
「ちっ。なんでカワウソなんだ」
「それは――向こう側の神様に文句を言ってください」
たぶん、川辺で変化する妖怪に該当する動物がカワウソしかいなかったんですよ。その部分は伝えないでおくかと美織は飲み込んだ。史晴もここで終わらせてやると、そう決心するだけだ。
「じゃあ、最後だな。境界線の向こう。ここからが踏み込んではならない領域。その証明と実証の時間だ」
そして、そう宣言をしたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!