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第14話(充side)
充は姉と一緒に親に売られてこの娼館にやってきた。見目が良く、2人ともかなり高値で売れたという。
充は当時8歳でまだ第二性すらわからない状況だったが、姉はΩですでに発情期を迎えており、売られたその日に何の前情報もないまま客の前に出され、花を散らした。
知らない場所に連れて行かれ、見ず知らずの人の前で服を剥かれ股を開き、まだ何も知らぬ蜜壺に屹立を受け入れた彼女は、一体何を思ったのだろう。
ただひたすらにすすり泣く声と、痛みに耐えきれず漏れ出た叫びを、充は隣の部屋で聞いていた。途中で耐えきれずに助けに行こうとしたが、猿轡をされ手足を縛られた。
そしてその日から、姉の顔から笑いが消えた。
客がいない間は、いつも遠くを見つめていて、かとおもうと時々その目からは涙が伝っていた。
瞳の奥には途方もない闇が宿っていて、彼女と目を合わせるのがとても怖かったことを今でも覚えている。底無し沼のように、吸い込まれてしまうのではないかと思って。
けれど、春臣がこの娼館にやってきてからは、春臣の前でだけ彼女は笑っていた。
…けれど春臣が来て半年後、充の姉は自殺した。
「…私にはその話が先ほどのお話と関係あるとは思えませんが。」
ふと、それまで黙って話を聞いていた仁が口を挟んだ。
「…まあもう少し聞いておくれよ。」
掠れた声で充は答える。
そしてふと、自分が情事で乱れた格好をしていることに気がついた。
今更直したって意味がないが、せめて合わせだけは整えて、それから充は話を続けた。
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