異分子

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黒塗りの新聞記事を眺めながら、寿史は先程の取り調べの際の警察官の挙動を思い出していた。

序盤は喋るのに夢中で全く二人の様子に注意を払っていなかったが、カウンセリングを受けた話をし始めた頃から、彼らの目が明らかに変わったような気がする。
何か捜査に関わるような事に触れたのだろうか。

結局、警察が把握している寿史の生い立ちについては言及出来なかった。
しかし、こんなにはっきりと覚えている記憶の数々が書面と異なるというのは、どういう事なのだろう。

考えれば考える程、よく分からなくなってくる。
俺は一体、何者なのか？
そんな不毛な問いさえ浮かぶ始末だ。

明日、弁護士が来る。
自分の生い立ちについて尋ねてみようと思った。