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寿史は覚えている限りの事を話した。 ついでに、昨日の取り調べの際に感じた、警察官の様子も。 弁護士は興味を持ったようだった。 「そのカウンセラーの名前か参加したセッションの名前を覚えているかい? 念の為、調べてみるよ」 カウンセラーの名字は駅の出口と同じだったので覚えている。 ただ、セミナーの名前は(おぼろ)げな記憶しかない。 「カウンセラーの方の名字は東口さん。セミナーの名前は『生き辛さを』なんとかみたいな名前だったと思うけど、覚えていませんね。 ただ、日時と場所は覚えています。 3年前の7月7日14時開始、○○駅東口を出て直ぐのビルの7階でした」 そう言うと、弁護士は頷いてメモを取った後、ちょっと首を傾けて言った。 「よく覚えているね。その前後に何か予定でも合ったの?」 「特に予定はなかったんですが、その日は祖母の命日なんです。なので、よく覚えていて」 弁護士が頷く。 「いま住んでいる家もお祖母様からの相続だもんね」 その言葉に寿史はハッとした。
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