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「お父さんは耐えられなかったんだろうね。
お母さんが他の男に組み敷かれて得た金で生活する自分が。
それで、お母さんや君に暴力を振るい続けたんだと思う」
弁護士が言うには、母親の身体や顔には耐えず痣があったそうだ。
「何でそんな事、知ってるんだよ」
思わず呟いた寿史に弁護士は薄く笑った。
「調べたからさ。当時、君のお母さんが働いていたスナックのママにお会いして、伺った」
寿史は驚きを隠せなかった。
「何故、そんな事まで」
弁護士は、笑っているような泣いているような、何とも言えない不安定な表情を浮かべている。
「普通は調べないよ。でも、僕には調べざるを得ない理由があった。
それは最後に話すから。
まずは話を全部、聞いてもらえるかな?」
寿史が頷くと、弁護士は先ほどより少し抑えた声で続きを話し始めた。
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