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翌日、弁護士が面会に来た。 細身で背の高い男だ。 最近、活動休止を発表したばかりのアイドルユニットのメンバーみたいに整った小顔をしている。 ピンストライプのネイビーのスーツを瀟洒に着こなし、足元はピカピカに磨かれた黒のストレートチップ。 手には使い込まれた、ビジネスバッグを携えて、全く隙が無い。 警察官付添の元、アクリル板越しに挨拶を済ませる。 年齢を訊かれ、二十七歳だと答えると、弁護士は「同い年だね」と微笑んだ。 そして、「いきなり本題だけど」と話を切り出した。 「君は何故、彼女を殺害したの?」 同じ話を何度もして、いい加減うんざりだが、再度繰り返す。 「あの女はバケモノだ。 俺の弟はアイツの所為で人生を狂わされ、そして死んだ」 すると弁護士は「ほぉ」と目を伏せて呟いた後、顔を上げ、寿史の眉間の辺りをまじまじと見た。 「それでバケモノである、彼女を殺したと」 寿史が頷くと、弁護士は身を乗り出した。 「その話、詳しく聞かせて欲しいな。 一体全体、彼女のどこがバケモノなのか。 そして彼女が君の弟に何をしたのかを」 「いいさ。(とく)と聞くがいい」 咳払いを一つした後、寿史は話し始めた。
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