26人が本棚に入れています
本棚に追加
13
目を閉じても、同じ事がぐるぐると頭を過る。
事実と異なる記憶の数々。
しかもそれらは、どれもこれも、ぶつ切りで、面を成さない。
まるでハイライト部分のみをピックアップして繋げた、プロモーションビデオのようだ。
そう、恐らく寿史の記憶は何者かによってコントロールされている。
そして、主治医がその片棒を担いている。
信じたくはないが、それは恐らく間違いない。
ただ、これまで寿史と主治医は良好な関係を築いて来た筈。
寿史を陥れるような事をしているとすれば、余程の理由があったとしか思えない。
次に主治医と面会するのは、明日の午後。
その時に主治医を問い詰めてみようと寿史は決意した。
全てを話してくれるとは思えないが、きっと解決の緒はつかめる筈だから。
最初のコメントを投稿しよう!