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目を閉じても、同じ事がぐるぐると頭を過る。 事実と異なる記憶の数々。 しかもそれらは、どれもこれも、ぶつ切りで、面を成さない。 まるでハイライト部分のみをピックアップして繋げた、プロモーションビデオのようだ。 そう、恐らく寿史の記憶は何者かによってコントロールされている。 そして、主治医がその片棒を担いている。 信じたくはないが、それは恐らく間違いない。 ただ、これまで寿史と主治医は良好な関係を築いて来た筈。 寿史を陥れるような事をしているとすれば、余程の理由があったとしか思えない。 次に主治医と面会するのは、明日の午後。 その時に主治医を問い詰めてみようと寿史は決意した。 全てを話してくれるとは思えないが、きっと解決の(いとぐち)はつかめる筈だから。
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