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「昨日、精神安定剤を処方されたからですよ」
寿史が言うと、横からレンが羨ましそうに呟いた。
「数日でメンタルボロボロになるよな、ココ。
マジ、クスリ必需品」
レンの言葉は寿史に昨日の困惑を思い出させた。
結局、何が真実なんだろうか。
弁護士の言葉を思い出すと、頭の奥がズキズキ痛む。
こめかみを押さえながら、寿史はレンに向かって言った。
「恐らく特別待遇だよ。
どうも奴らは俺の精神が錯乱していると思い込んでいるらしい」
「何だよ、それ。そんな風に思われるって事は何か理由があるんじゃねぇのか」
首をひねりつつ口を挟むシゲに寿史は頷いた。
「そうかも知れませんね。実は俺の記憶と弁護士の言ってる事にズレがあるんです」
シゲとレンが聞きたがるので、寿史は逮捕されてから昨日の夜までの出来事を順を追って話した。
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