5

2/5
前へ
/52ページ
次へ
「昨日、精神安定剤を処方されたからですよ」 寿史が言うと、横からレンが羨ましそうに呟いた。 「数日でメンタルボロボロになるよな、ココ。 マジ、クスリ必需品」 レンの言葉は寿史に昨日の困惑を思い出させた。 結局、何が真実なんだろうか。 弁護士の言葉を思い出すと、頭の奥がズキズキ痛む。 こめかみを押さえながら、寿史はレンに向かって言った。 「恐らく特別待遇だよ。 どうも奴らは俺の精神が錯乱していると思い込んでいるらしい」 「何だよ、それ。そんな風に思われるって事は何か理由があるんじゃねぇのか」 首をひねりつつ口を挟むシゲに寿史は頷いた。 「そうかも知れませんね。実は俺の記憶と弁護士の言ってる事にズレがあるんです」 シゲとレンが聞きたがるので、寿史は逮捕されてから昨日の夜までの出来事を順を追って話した。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加