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【2】Underground.
階段を降りて行くと時折、風を感じることがある。そこには、通風孔がありそこから見える景色は終末都市の外の世界だろう。砂漠が広がっているがそのさらに向こうには都市のような光の群れが連なっていた。
階段を降りて行くと、各階層に降りられるのだろうけど冷たく重たい扉を開ける気にはならなかった。加えてこの辺りは、1990年代の建築であるため空気自体が汚染されているかもしれない。ガスマスクは極力使いたくはない。
時計を見れば、15時過ぎ。
スマートフォンの電波も途切れてきた。ラジオはなぜか感度良好だ。今は、地上5階。休憩をはさんでいるが、単調な階段に飽きてきてはいた。
当時、僕がいた時は先ほどの20階層まで行くエレベーターがあったが、今は使えないし 使えても管理がされてないだろうから危険だろう。
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19:00
地下5階と書かれた扉は錆びていてところどころ剥げていた。ドアノブを回すと ゴンっ という鈍い音とともに開く。
一歩踏み入れば、足元にはステンレスの鉄格子(=グレーチング)が張り巡らされ床となっていた。上を見れば、通路等の青い光が6段ほど見える。下はといえば、最下層の赤い照明が見える。 3年という月日が経ってもなお光っている。
「やっと来たよ。ボク...」
今いる場所と記憶の地図を頼りに、最後に分かれた場所へと向かう。カツカツと聞こえる金属音とともに足元には敵のクローンと思える武器や装備、番号が書かれた樹脂製の骸骨が転がっていた。
敵であっても、人間に利用されたという点では かわいそう...いや残酷なものを見せられている 嫌な気分だった。
この階層を含めて地下階層は、上下に開放的だ。ところどころにコンクリート製の壁や鉄骨などの構造物はあるが、見通せるだけの空間が上下前後左右に広がっている。
青い空間を進んでいくと記憶にある場所にボクはいた。
樹脂製の骸骨には、「Minato C09」と書かれている。僕は、涙が流れた気がした。
「やぁ 久しぶり。会いに来たよ...」
無音が貫き、僕はボクを近くで見ると、ところどころ折れた形跡がある。そして、彼の手元に1枚の紙が挟まっていた。つかんでいたのだろう。
「悪いが見るぞ」
紙を開くと僕と同じフォントで書かれたメッセージがあった。
=君が逃げた後、僕はまだ生きていたんだ。痛いという感覚はある。
最後に、僕は君に伝えたいことがあったんだ。本当なら、逃げる途中で助けによるつもりだったんだけど でも、無理そうだから 戻ってきた君に頼みたい。彼女...凪葉凛 は... 本物の彼女は研究室(=地下最下層)の保存室にいる。 コールドスリーブってやつだ。 助けてくれないか
コールドスリーブは... 電源を切って 温めればいい。 それだけだから
たの=
そこからは解読ができなかった。だが、ボクは凪葉凛という存在を知っていたようだ。
どこで知ったのかは知らないが、彼は助けてほしいという。3年が経った今でも生存しているかはわからないが行ってみようと思う。
[【2】Underground. 終]
>NEXT: 【3】another story.
次回は、クローンのボクが凪葉凛という少女に出会った話
あとがき
ここまで読んでいただきましてありがとうございます。
あとがきというわけではないのですが、「あれ?こんな物語呼んだことある気がする...」と思われた方がいるかもしれません。
それは、僕が今までに見たアニメ・ドラマ・小説などが僕の脳内でミックスされているため自覚なしで似ている表現をしているのかもしれません。
もし、似ている!と思ったらコミュニティで教えてください。その作品は僕好みかもしれませんので...
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