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【3】another story.
クローンの僕が、本物の人間を見たのは 彼女が初めてだ。
そして、彼女を僕は助けてあげたいと思った。地上で自身が自由にしてほしいって思ったんだ。意識を同期しているマザーは毎日楽しそうにしている。
凪葉凛というその少女は、親が研究者で クローンの開発のために被検体になるのだというが僕のようなクローンが生まれるというのは、本物の彼女にとってどういう気持ちなのかな。
聞いても
「まだわからないよぉ」
というから僕は、気になるんだ。
***
本物の僕が中学2年生になっとき、大都市で戦争が起こった。
本物の僕にすらあったことのなかった僕だけど、遠目で見た初めてののt期でもあった。彼は、技術者として戦争の計画を立てる一員として参加していた。僕はというと、敵のクローンを無効化させる武器を持ち後方を支援していた。
時折聞こえる無線が、僕の声でとても不思議な気分だったよ。
だけどある日。僕らは戦力が明らかに不足していると感じた。昨日までいた兵士がいないし、僕と同様に参加しているものはまばらだった。故に、戦力不足で自分らのエリアは徐々に後退し彼がいる陣地にまで迫る勢いだった。
「もう一人の...僕!逃げよう」
後ろで聞こえた声で振り向くと彼がいた。初めて対面した。なんか不思議な気分だ。
「うん。逃げよう」
それからは、僕らはさらに後方にある陣地に向かった。
だけどその時、ふと彼女「凪葉凛」の存在を思い出した。気になった僕は、仲間のクローンに尋ねると、彼女がここよりさらに地下の研究室でコールドスリープをしていると聞かされた。
僕は、僕に彼女のもとへ行きたいと言いたかったが忙しそうにしている彼を見て僕は、一人で彼女のもとへ行くことにした。
ここから何階層から降りるだけで研究室までたどり着けた。だけど、研究室に入ると研究者たちが話し込んでいるのが聞こえた。隠れてそのまま聞いていると、凪葉凛の本物はこのまま地下でコールドスリープをしてクローンである彼女を実世界に出すと、理由は本物を使ってさら忠誠心の高いクローンを作るのだという。
外の世界とはクローンが持つ特性「同期」によって共有されるという。
でも、僕は思った。
彼女は、偽物の記憶を見せられるだけで自身は毎日窮屈で義務的な行動しかない空間で生きる。見るだけの幸せがどんなに残酷か...と。
<助けてあげたい>
<外の自由な世界で>
だから...彼女と外へ一緒に逃げようと。
「このままの戦況ではないだろうし、僕らは地上へ逃げるに決まっている。その時に一緒に行けばいいんだ」
[【3】another story. 終]
>NEXT: 【4】dystopia
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